平成20年度分 安全科学科

論文の内容

題名 掲載誌名 著者 概要
ダイオキシン類生物検定法における精度管理手法 エンバイオ, 3, 10-14(2008) 北本 寛明 近年,ダイオキシン類の測定において,これまでの高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(HR-GC/HR-MS)による測定より,迅速で低廉な簡易測定 法の導入が求められていた.環境省は,平成16年12月27日にダイオキシン類対策特別措置法施行規則(平成11年総理府令第67号)の一部を改正し,廃 棄物焼却炉からの排出ガス,ばいじん及び焼却灰その他燃え殻(ばいじん及び燃え殻)に含まれるダイオキシン類の測定の一部に生物検定法による簡易測定の追 加等を行った.環境大臣は平成17年9月14日付告示により4つの方法を定めた.環境大臣が定めた具体的な4つの簡易測定法は,3種のレポータージーン アッセイ法(環境省平成17年告示第92号第1の1~3)及び1種のイムノアッセイ法(環境省平成17年告示第92号第2)である.
本報告では品質管理システム等を除く,測定技術面での精度管理の各方法について概説すると共に,一部について,イムノアッセイ法を例に示しながら考察を行った.
イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン及びトリイソプロピルナフタレンの分析法(底質、生物) 化学物質と環境(平成19年度)(環境省編),389-410(2008) 鈴木 元治 PCB 代替品であり化審法の第一種監視化学物質に指定されたジイソプロピルナフタレン(DIPN)とその同族体であるイソプロピルナフタレン(IPN)及びトリ イソプロピルナフタレン(TIPN)の底質及び生物試料水を対象とした同時分析法を確立するための検討を行った.
回収率,夾雑物の除去及びコンタミネーションを考慮した前処理方法を検討し,昨年度に確立した水試料の分析方法と同様の条件でGC/MSによる定量分析 を行った.その結果,底質中のIPN及びDIPNの定量可能なレベルは,それぞれ0.32ng/g-dry及び0.47ng/g-dryとなった.また, 生物試料中では,それぞれ0.20ng/g-wet及び0.27ng/g-wetとなった.TIPNは標準品が市販されていないが,工業原体を用いて検討 を行なった結果,定量下限値はIPNやDIPNとほぼ同程度と推定された.
この分析方法を用いて,姫路沖から採取した底質及び魚試料(スズキ)を分析した.その結果,底質中のIPN ,DIPN及びTIPNは,それぞれ1.2ng/g-dry, 20ng/g-dry及び2.4ng/g-dryであった.また,魚試料(スズキ)からは,DIPNが5.2ng/g-wetで検出されたが,IPN及びTIPNは操作ブランクと同程度であった.
イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン及びトリイソプロピルナフタレンの分析法(大気) 化学物質と環境(平成19年度)(環境省編),762-778(2008) 鈴木 元治 PCB代替品であり化審法の第一種監視化学物質に指定されたジイソプロピルナフタレン(DIPN)とその同族体であるイソプロピルナフタレン(IPN)及びトリイソプロピルナフタレン(TIPN)の大気を対象とした同時分析法を確立するための検討を行った.
エアポンプに接続したPS-Airカートリッジに,3L/minで24時間大気を通気させ,対象物質を捕集した.コンタミネーションの低減のため,前処 理はできるかきり簡略させ,昨年度に確立した水試料の分析方法と同様の条件でGC/MSによる定量分析を行った.その結果,良好な回収率が得られ,大気中 のIPN及びDIPNの定量可能なレベルは,それぞれ0.44ng/m3及び0.21 ng/m3となった. TIPNは標準品が市販されていないが,工業原体を用いて検討を行なった結果,定量下限値はIPNやDIPNとほぼ同程度と推定された.
この分析方法を用いて,当センター須磨庁舎屋上の大気を分析した結果,IPN及びDIPNは,それぞれ0.33 ng/m3及び0.76ng/m3で検出されたが,TIPNは不検出であった.
Enantioselective Analysis of POPs in the North Atlantic Ocean and the Japan Sea Organohalogen Compounds, 70, 341-344 (2008) 中野  武  他 北大西洋、日本海で採水した海水中残留性有機汚染物質(POP)のエナンチオマー比(EF)を測定した。trans-クロールデン、cis-クロールデンのEFは0.4~0.6の範囲であった。
ヘプタクロルの代謝物質であるヘプタクロルexo-エポキサイドのEFは0.5~0.7の範囲であった。アルファ-HCHのEFは0.42~0.48の範囲であった。 EFとアルファ-HCH/ΣHCH比の間に負の相関関係が見られた。 EFとアルファ-HCH/ΣHCHの間で北大西洋と日本海での相関係数(r)は、それぞれ-0.798と-0.749であった。

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