水環境科(安全科学担当)

Monitoring OH-PCBs in PCB transport worker’s urine as a non-invasive exposure assessment tool

Yuki Haga, Motoharu Suzuki, Chisato Matsumura, Toshihiro Okuno, Masahiro Tsurukawa, Kazuo Fujimori, Narayanan Kannan, Roland Weber and Takeshi Nakano

Environmental Science and Pollution Research, 2018, in press

 高分解能GC/MSを用いて、ヒト尿中の水酸化PCBを分析する方法(以下、本法)を世界で初めて開発した。本法を用いて、研究者とPCB作業従事者の尿を分析したところ、PCB作業従事者の水酸化PCB濃度は研究者と比べて高いことが明らかになった。このことは作業中にPCBに暴露されている可能性が高いことを示唆している。2012年の調査では作業開始後に水酸化PCB濃度の顕著な上昇が確認されたが、2014年の調査で暴露防止に係る助言を行い、水酸化PCB濃度が2012年と比べて顕著に上昇しないことを確認した。尿は血液とは違って、医療従事者でなくとも試料の採取を行うことができ、痛みも伴わないため、PCBの暴露を評価・低減するうえで、世界的にも有用な方法となりうる。今後も定期的なモニタリングが大切であり、関係者に対して適切に助言を行っていく必要がある。

Polycyclic Aromatic Hydrocarbons (PAHs) and Polychlorinated Naphthalenes (PCNs) in Sediment of Hyogo Prefecture, Japan., (2017)

Haga Y, Tsurukawa M, Yoshiki R, Nakagoshi A, Fujimori K, Nakano T and Matsumura C

Organohalogen Compounds,2017, in press

 兵庫県内の底質中のPAHsとPCNsの環境実態調査を行った。総PAHsの濃度範囲は15~1,500ng/g-dryであり、過去の東京湾の調査の範囲内であることがわかった。また、県内で比較すると、南東部、淡路島の東部や姫路沖が比較的高いことがわかった。総PCNsの濃度範囲はND~4.5 ng/g-dryであり、過去の全国調査と比較しても低い濃度であることがわかった。PAHsについてはより詳細に解析を進める予定である。

Distribution of perfluoroalkyl compounds in Osaka Bay and coastal waters of Western Japan

Beskoski Vladimir P. , Yamamoto Katsuya , Yamamoto Atsushi , Okamura Hideo , Hayashi Mitsuru , Nakano Takeshi , Matsumura Chisato , Fukushi Keiichi , Wada Shinpei , Inui Hideyuki

Chemosphere 170, 260-265, 2017-03

 大阪市の味生水路、大阪湾、鹿児島湾から採取した堆積物試料、大阪湾など西日本の沿岸水域から採取した15試料の海水試料について有機フッ素化合物PFAAs(FOSAsとPFCAs)を分析した。全ての堆積物サンプルにおいて、PFCAsのみが検出され、本調査で味生水路で最も高い濃度が検出された。ここで、総PFAAは58990ngkg-1乾燥重量であった。海水試料中のPFAAは、定量限界と53.4ng L-1との間の範囲であり、ペルフルオロヘキサン酸が最も多く、37ng L-1の最高濃度を示した。大阪湾および西日本沿岸域の表層水中のPFAAのパターンと濃度の変化は、淀川流域を中心とする京阪神大都市圏の影響を受け、太平洋への輸送過程により自然に希釈される。

酢酸2-メトキシエチル(対象媒体:水)

中越 章博

化学物質と環境 平成28年度 化学物質分析法開発調査報告書, p28-47

 酢酸2-メトキシエチルは金属製品や家具用の塗料、印刷インキの溶剤、電子部品用インキの溶剤に使用されており、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)の第一種指定化学物質にしている化学物質である。過去にジクロロメタンを用いた液液抽出による分析法の開発がされていたが、抽出操作が簡便であり有害物質であるジクロロメタンを使用量の大幅に減少させる活性炭カートリッジを用いた固相抽出による分析の開発に成功した。

ナフタレン(対象媒体:底質)

羽賀 雄紀

化学物質と環境 平成28年度 化学物質分析法開発調査報告書, p176-204

 ナフタレンは染料中間体原料、防虫剤や無水フタル酸原料に使用されており、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の優先評価化学物質及び化管法の第一種指定化学物質に指定されている化学物質である。底質中のナフタレンの分析は定量値にばらつきが出やすいという報告があるが、高速溶媒抽出法と認証値付き底質試料などを用いて、高感度かつ精度よく分析することに成功した。

クロロ酢酸及びクロロ酢酸ナトリウム(対象媒体:水)

中越 章博

化学物質と環境 平成28年度 化学物質分析法開発調査報告書, p562-592

 クロロ酢酸はカルボキシメチルセルロース原料、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸原料、ブチルフタリルブチルグリコレート原料、キレート剤原料、界面活性剤原料、医薬品原料、香料原料及び農薬原料として使用されており、化管法の第一種指定化学物質にしている化学物質である。酢酸エチルの液液抽出及びヘキサンによる脱水、ローターリーエバポレーターでの濃縮で30ng/Lオーダーでの分析を可能にした。

大気環境科

第5次酸性雨全国調査報告書(平成27年度)

堀江洋佑,岩崎綾,友寄喜貴,藤田大介,河野明大,西山亨,久恒邦裕,木戸瑞佳,濱村研吾,山添良太,松本利恵,多田敬子,山口高志,横山新紀,家合浩明,甲斐勇,濱野晃,吉田芙美香

全国環境研会誌 (2017) Vol.42, No.3, Page. 2-45

 全国環境研協議会による酸性雨全国調査は1991年度から始まり,現在2009年度から第5次調査を実施している。報告書は, 第5次調査の7年目の2015年度に全国の地方環境研究所49機関で行った,湿性沈着調査68地点,乾性沈着調査44地点の調査結果をとりまとめた。加えて,最近のアジア大陸から排出されるガスおよびPM2.5による大気汚染等の問題にも触れた。

各座長によるセッション報告

中坪良平, 辻 昭博, 堀本泰秀, 平川周作, 森 淳子, 大原俊彦, 木村真也, 古田世子, 成岡朋弘, 神保有亮

全国環境研会誌 (2018) Vol.43, No.1, Page. 11-18

 平成29年11月13日,14日に長崎県長崎市で開催された「第44回環境保全・公害防止研究発表会」の口頭発表内容をとりまとめた。大気,水質,生物等の10セッション,合計42題の発表内容をセッションごとに概説した。

Identification of biased sectors in emission data using a combination of chemical transport model and receptor model

Uranishi K., Ikemori F., Nakatsubo R., Shimadera H., Kondo A., Kikutani Y., Asano K., Sugata S.

Atmospheric Environment (2017) 166, Page. 166-181

 2011年度の東海近畿地方11地点を対象に,PMFモデル及びCMAQモデルによるPM2.5の発生源解析を実施した。両モデルで得られた主な発生源の寄与は概ね一致したが,CMAQはPMFに対するバイオマス燃焼の寄与を過小評価した。PMFとCMAQの比較アプローチは,どの排出源に大きな偏りがあるかを特定することを可能にする。

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